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prob:2013 [2013/07/21 21:59] wataluprob:2013 [2013/07/25 11:54] – [モーメントの求め方] watalu
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 {{:prob:prob-d-note-and-quizzes-20130718.pdf|第13回}}: 正規分布 {{:prob:prob-d-note-and-quizzes-20130718.pdf|第13回}}: 正規分布
  
-第14回: 各種不等式と大数の法則と中心極限定理 +{{:prob:prob-e-note-and-quizzes-20130725.pdf|第14回}}: 各種不等式と大数の法則と中心極限定理
  
 === 中間試験(4) === === 中間試験(4) ===
行 354: 行 353:
          = 1.375          = 1.375
 </code> </code>
 +
 +=== 中心モーメントの求め方 ===
 +== 直接計算 ==
 +
 +原点モーメントは、離散分布なら
 +
 +<jsmath>
 +m_k=E\left[X^k\right]=\int_{-\infty}^{\infty} x^k p\left(x\right)dx
 +</jsmath>
 +
 +連続分布なら
 +
 +<jsmath>
 +m_k=E\left[X^k\right]=\sum_{x=-\infty}^{\infty} x^k p\left(x\right)
 +</jsmath>
 +
 +で計算する。
 +
 +中心モーメントは、1次の中心モーメントは
 +
 +<jsmath>
 +\mu=\mu_1=m_1-m_1=0
 +</jsmath>
 +
 +2次の中心モーメント(分散)は
 +
 +<jsmath>
 +\sigma^2=\mu_2=m_2-{m_1}^2
 +</jsmath>
 +
 +3次の中心モーメントは
 +
 +<jsmath>
 +\mu_3=m_3-3m_2m_1+2{m_1}^3
 +</jsmath>
 +
 +など。また中心モーメントを求める際、期待値は自ら計算するにしても原点モーメントではなく
 +
 +<jsmath>
 +E\left[X\left(X-1\right)\right]
 +</jsmath>
 +
 +を求めて、
 +
 +<jsmath>
 +\sigma^2=\mu_2=E\left[X\left(X-1\right)\right]+m_1-{m_1}^2
 +</jsmath>
 +
 +とした方が都合が計算量が少なくなる確率分布もある。(幾何分布、ポアソン分布)
 +
 +== モーメント母関数からの計算 ==
 +
 +<jsmath>
 +M_X\left(t\right) = E\left[\exp\left(tX\right)\right]
 +</jsmath>
 +
 +が与えられていれば、
 +
 +<jsmath>
 +m_k = \left.\frac{d^k}{dt^k}M_X\left(t\right)\right|_{t=0}
 +</jsmath>
 +
 +で求めることができる。代入して不定になるなら、
 +
 +<jsmath>
 +m_k = \lim_{t\rightarrow 0}\frac{d^k}{dt^k}M_X\left(t\right)
 +</jsmath>
 +
 +をロピタルの定理を用いて求める。ロピタルの定理は
 +
 +<jsmath>
 +\lim_{t\rightarrow 0}{a\left(t\right)} = \lim_{t\rightarrow 0}{b\left(t\right)} = 0 \,\, \pm \infty
 +</jsmath>
 +
 +のときに、
 +
 +<jsmath>
 +\lim_{t\rightarrow 0}\frac{a^\prime \left(t\right)}{b^\prime \left(t\right)} 
 +</jsmath>
 +
 +が有限の値に収束するなら、
 +
 +<jsmath>
 +\lim_{t\rightarrow 0}\frac{a\left(t\right)}{b\left(t\right)} = \lim_{t\rightarrow 0}\frac{a^\prime \left(t\right)}{b^\prime \left(t\right)} 
 +</jsmath>
 +
 +となる、という定理である。
 +
 +これで求まるのは原点モーメントなので、中心モーメントを求めるのは関係式
 +
 +<jsmath>
 +\mu=\mu_1=m_1-m_1=0, \, \, \sigma^2=\mu_2=m_2-{m_1}^2, \, \, \mu_3=m_3-3m_2m_1+2{m_1}^3, \ldots
 +</jsmath>
 +
 +などを用いるのは、直接計算と同様。
 +
 +== 他の分布からの計算 ==
 +
 +モーメント母関数からも確認できる関係。
 +
 +  * 互いに独立に同一のベルヌーイ分布に従うn個の確率変数の和の分布は二項分布に従う(ベルヌーイ分布の和は二項分布)
 +  * 互いに独立に同一の幾何分布に従うn個の確率変数の和の分布は負の二項分布に従う(幾何分布の和は負の二項分布)
 +  * 互いに独立に同一の指数分布に従うn個の確率変数の和の分布はアーラン分布に従う(指数分布の和はアーラン分布)
 +  * 互いに独立に相異なる正規分布に従うn個の確率変数でも、その和の分布は正規分布に従う(正規分布の和は正規分布)
 +  * アーラン分布はガンマ分布と同等
 +  * χ2乗分布はガンマ分布と同等
 +  * 発生間隔が指数分布に従う事象の、一定期間の発生回数はポアソン分布に従う
 +
 +他にも関係はあるけど、とりあえずこれぐらい。
 +
 +  - 互いに独立な確率変数の和の期待値は、それぞれの期待値の和
 +  - 互いに独立な確率変数の和の分散は、それぞれの分散の和
 +
 +はたたき込んでおくとよい。
 +