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研究室の皆さんへ (2020.04.06)

二次情報源として、お茶の水大学の保健管理センターが発信している情報を客観的で理解し易い情報と評価しました。これは4月6日時点の判断であり、他にも有益な情報発信は数多く行われていると感じていますが、これから暫くの間は、情報収集から情報活用へと舵を切りたいです。

お茶の水大学保健管理センターの情報で、強く印象に残った記述は次の3文です。

  1. 多人数の集合を避けること、が他人に感染を広げないためには最も重要
  2. 無症候性、あるいは軽症感染例は予想以上に多い
  3. したがって、たとえ症状がなくとも、(検査が容易には行えない)現時点では、多人数の集合は避け、感染低減策を取り、高齢者、基礎疾患のある人には接しないようにして、当面のオーバーシュート、医療機関医療者への過大な負荷を避けることが必要になります

多人数として1000人という数字から、10人以上という数字まであります。それぞれに意味と目的が異なるので、例えば10人未満であれば良い、という判断は過信に繋がる可能性があります。可能ならビデオ会議ソフトウェアなどインターネット越し、近距離接触するならせいぜい2人か3人まで、そして常に換気・通気のある環境での接触を心がけることが望ましいように感じてきました。

皆さんも可能なかぎり、不要な外出はお控え下さいませ。感染者が増加している間は、1学年の方々が集まってのミーティングでも、インターネットを活用しようと考えています。

自分が参考にする情報源を選定する

政府(内閣府)、行政(各府省庁)、各種媒体(新聞、テレビ、ネット)、各種団体(学協会)、また専門家から一般市民まで様々な個人が、情報を発疹しています。専門家の中でも、医師や保健所など実際に感染症の疫学的研究や治療に従事する人、知識として学んでいる人など、様々です。自分が接した情報が、何次情報源から発されたのかを検討するよりは、一次情報源かそれに近い情報源を見つけて、そこの記載内容を自分で検討してください。情報源の一次、二次、三次・・という字数はいわば、伝言ゲームの間の人数です。数が増えるほど、様々な主観を上乗せされ、ニュアンスが変わっていく可能性もあります。もちろん、正しく伝えられる可能性もあります。

この状況では、各自が自ら、幾つかの情報源に絞って、二次的な解釈を断って、少し冷静に状況判断をすることをお勧めします。

政府の見解をマクロレベルの見解として捉える

厚生労働省の見解を全国の病院や国立医療機関や研究機関、そして保健所を束ねる組織の政府よりはミクロなレベルの見解として捉える

関連しそうな医師の学会や医療機関の見解を私たちの病理の専門家の見解としてもっともミクロなレベルの見解として捉える

SIRモデル

SIRモデルは、集団Nを感染可能者(Susceptable)S、感染済者(Infected)I、免疫獲得者(Recovered)Rに分け、感染可能者と感染済者の接触が感染可能者の感染を拡大し、また感染可能者が治癒または死亡により感染可能者+感染済者から除外される、という数理モデル(微分方程式モデル)です。このモデルは次の4項目に要約できます。

  • 接触率が人数の積に比例すると仮定
  • 感染者を下げるには、接触あたりの感染率を下げればよいモデル
  • 感染者から除外されるには、免疫獲得しかないモデル
  • 免疫獲得には、治癒か死亡しかないモデル

数理モデルとは数式で表現されたモデル全体を指して言い、これはその中の微分方程式モデルです。

再発症が注目されていますので、発表された数字にこのモデルを当てはめて論じることに若干の違和感を覚えます。でも、感染を単純して説明するモデルとしての近似性能があるようです。(この記述は主観を交えています)