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StanをRから使う

必要なソフトウェア

Stanを利用するにはC++言語の開発環境が必須である。またRと一緒に用いるのであれば、Rをコンパイルできる環境とともに揃えるのが望ましい。 Windows用にはコンパイルのための道具が収められたRToolsというパッケージが用意されている。macOSではXcodeを用いる。LinuxではGCCやRを一通りインストールすると、必要なライブラリが揃っていることが多い。 RはThe R Projectが公開している最新版のバイナリをインストールすることを勧める。Microsoft R Openは、対応していないパッケージがあることもあるので、自己責任で選択して欲しい。  

OSRRStudio開発環境
WindowsRRStudioRTools
macOSRRStudioXcode
LinuxRRStudio

Linuxでは、Rをソースからビルドしてもいいし、各ディストリビューションに関係するパッケージを用いても良い。

準備

まず、RとRStudioをインストールするか最新版に更新しておくこと。Rの総本山のウェブサイトの国内ミラーである、統計数理研究所提供のCRANサイトから、使用するOS用のRの最新版をダウンロードしてインストールすると良い。RをRStudioから使う人は更に、RStudioの開発元であるRStudio.comから使用するOS用の RStudio Desktop (Open Source License) の最新版をダウンロードしてインストールすると良い。

Windowsユーザ向け

Windowsを用いる人はR Stan Getting Started(の和訳)を見ながら進めると良い。

  1. https://cran.r-project.org/bin/windows/Rtools/ からRtoolsをダウンロードしてインストールする
  2. 上のインストール中に、システムの環境変数のPATHを編集するように指示する
  3. RもしくはRStudioを起動し、次の1行を実行してみる。
    system(“g++ -v“)

    コンパイラのバージョンなどを返してくれば、準備が整ったことが確認できる。

  4. 次にStanおよび関連するR用のパッケージをインストールする。
    install.packages(“rstan“, repos=“https://cloud.r-project.org/“, dependencies=TRUE)

ここまで終われば、たくさんのパッケージがインストールされて、やっとStanをRから呼び出す準備が整う。

Macユーザ向け

macOSを用いる人はRStan Mac OS X Prerequisite Installation Instructionsを見ながら進めると良い。

  1. App StoreからXcodeをインストールするか、最新版に更新する。
  2. RもしくはRStudioを起動し、次の1行を実行してみる。
    system(“clang++ -v“)
  3. コンパイラのバージョンなどを返してくれば、準備が整ったことが確認できる。
  4. 次にStanおよび関連するR用のパッケージをインストールする。
    install.packages(“rstan“, repos=“https://cloud.r-project.org/“, dependencies=TRUE)

ここまで終われば、たくさんのパッケージがインストールされて、やっとStanをRから呼び出す準備が整う。

Linuxユーザ向け

Linuxを用いる人はコンパイラとライブラリが一通り入っていれば良い。そしてRもしくはRStudioを起動し、次の1行を実行してみる。

system(“g++ -v“)            # WindowsとLinuxの場合

コンパイラのバージョンなどを返してくれば、準備が整ったことが確認できる。次にStanおよび関連するR用のパッケージをインストールする。

install.packages(“rstan“, repos=“https://cloud.r-project.org/“, dependencies=TRUE)

ここまで終われば、たくさんのパッケージがインストールされて、やっとStanをRから呼び出す準備が整う。

RStan

RStanというパッケージは、

  1. Stanモデリング言語で記述されたファイルから、Stanでモデルファイルを作る
  2. データとモデルを与える未知パラメータの事後分布からのサンプリングを行う

という順序で動作する。 まずRで

library(rstan)

を実行し、必要なパッケージを読み込む。 R上でこの2つのステップを同時に実行するには

binomial.fit <- stan("binomial.stan",data=list(x=20,n=30))

とすればよい。 2段階を分けて実行するには

binomial.model <- stan_model("binomial.stan")
binomial.fit <- sampling(binomial.model, data=list(x=20,n=30))

とする。モデルファイルを作る際にコンパイルを行っていて、ここに少々の時間がかかる。一度コンパイルしたモデルファイルは、RDSという形式でRの外に保存することができる。

saveRDS(binomial.model,"binomial.rds")

読み込むには、次のreadRDS関数を用いる。

binomial.model <- readRDS("binomial.rds")