目次

はじめに

私の研究室は、CMMSが提供してくれる保全の運用段階でのリソース最適化問題よりは、もう少し上流に位置する保全計画の企画段階での個々のコンポーネントの保全基準の最適化を研究の対象としている。保全工学に関する講義や演習の教材を探したが、保全の企画から設計まで段階で用いる保全方策を定量化するアプローチに関して参考になるものが見つからなかった。そこで同僚の山本渉氏に相談しながら、用意してみることにした。経営・社会情報学実験のシステム信頼性というテーマとして用いることを想定して準備を始めたが、それに留まらず、内容を増やしていけたらと考えている。

ここの内容は、次の内容をカバーするようにしていきたい。

  1. 試験室データやフィールドデータからの寿命モデルの推定と保全への活用
  2. 試験室データやフィールドデータからのマルコフ劣化モデルの推定と保全への活用
  3. 試験室データやフィールドデータからの劣化過程モデルの推定と保全への活用

保全行動と保全計画には様々なものがあり、それぞれ、組み合わせに適した確率モデルがある。数理を学んだ者には、それぞれの区別や比較は容易だが、手元にまでコンピュータを持ち歩く時代には、体験的なコンテンツの提供も学習の助けになるかも知れないと考えた。

年齢取替ブロック取替状態監視取替状態監視修理オーバーホール点検取替点検修理
寿命分布モデル
マルコフ劣化モデル
劣化過程モデル

教育目的には、取り上げたモデル全てで、候補とする保全行動を試せる内容を目指したい。でも上に掲げる表の全てを埋めるのは、少し大きすぎる目標かも知れないと感じてもいる。(金路)